Interview

株式会社明治 グローバルカカオ事業本部 カカオマーケティング部 カカオG・日吉良平さん
株式会社明治 グローバルカカオ事業本部 カカオ開発部 カカオG・黒須充春さん
「沖縄黒糖の魅力を皆様に届けたい」

黒須充春さん(左)、日吉良平さん(右)
日吉良平さん 株式会社明治 グローバルカカオ事業本部 カカオマーケティング部 カカオG
株式会社明治の販売するブランド商品のマーケティングを担当。ミルクチョコレートやアーモンド、マカダミア、きのこ、たけのこ、メルティーキッス等を担当する。

黒須充春さん 株式会社明治 グローバルカカオ事業本部 カカオ開発部 カカオG
株式会社明治の販売するブランド商品の開発を担当。主に、マーケティングの視点から、開発に使用する原料を検討、商品開発する。

「2023年9月より、沖縄黒糖を使用した「アーモンドチョコレート黒糖」と「リッチ黒糖チョコレート」を期間限定で販売。沖縄黒糖を使用した商品開発を開始したきっかけや開発の苦労、沖縄黒糖商品の販売を通じて発見したことを株式会社明治の日吉良平さん、黒須充春さんにインタビューしました。」(インタビュー日:2023年12月12日)

沖縄黒糖を使用した商品を2商品、期間限定販売されていらっしゃいましたが、どのような商品か教えてください。

2023年9月より、沖縄黒糖を使用した「アーモンドチョコレート黒糖」と「リッチ黒糖チョコレート」を期間限定で販売しました(現在は終売)。「アーモンドチョコレート黒糖」は、ロングセラーで人気のあるアーモンドシリーズの黒糖バージョンで、アーモンドをコーティングするチョコレートの中に沖縄黒糖を練りこんでいます。「リッチ黒糖チョコレート」は、ホワイトチョコレートに粒感を残した沖縄黒糖を練りこんでいます。チョコレートに沖縄黒糖の粒感でアクセントをつけ、香りや食感、味に違いを出しています。

沖縄黒糖を商品に使用しようと思ったきっかけを教えてください。

自社ではチョコレートの主原料であるカカオやミルク、砂糖にこだわった商品開発をしてきています。カカオの栽培技術に関する産地との取組(メイジ・カカオ・サポート)をしていることもあり、カカオを軸として、商品開発を検討してきました。

しかし、お客様にもっとチョコレートの嗜好の拡がりを楽しんでもらいたい、チョコレートの消費拡大を目指したいという想いから、主原料のひとつ、砂糖にも着目しました。なかでも、砂糖を沖縄黒糖へ置換してみると、カカオと沖縄黒糖の豊かな風味がとても相性が良かったのです。

また、沖縄黒糖には、在庫過多の問題があることも知り、自社が取り組むことで沖縄黒糖に関わる方々に少しでもお役立ちできるのであればと考え、ますます発売へたどり着けるよう商品開発を進めました。

自社では、過去に沖縄黒糖を使用した商品を販売したことがありますが、沖縄黒糖は製造上ラインでの課題が多いことや安定供給が難しいという状況だったため、安定的な商品製造が必要な自社では、取り扱いが難しいと判断しており、直近10年であまり沖縄黒糖を使用した商品の発売ができておりませんでした。 素材の1つとして沖縄黒糖を認識しており、ミネラル豊富な点やミルクとの相性が良い等、沖縄黒糖そのものに魅力を感じていました。2023年2月に商品開発や研究開発、マーケティング部署等のメンバーで、さとうきびの圃場や製糖工場を訪問したことで、沖縄黒糖についてさらに知識が深まりました。沖縄黒糖は栄養面で健康に良いことに加えて、沖縄黒糖の原料となる、さとうきびの生産や沖縄黒糖製造が離島を支える産業であること、私たちが沖縄黒糖を消費することでさとうきびの消費につながり、二酸化炭素の削減につながるという観点からSDGsに貢献できることなど、消費者に知られていないことが多いと気づきました。これらの知られていない情報、つまり沖縄黒糖の良さを、自社の商品を通じてお客様にお伝えできるのではないかと考えました。

アーモンドチョコレート黒糖のパッケージ

商品開発における苦労や発見を教えてください。

商品開発の際には、商品に使用する沖縄黒糖の産地候補を絞るために、社内のメンバー30人程度で8島すべての沖縄黒糖を試食し、またチョコレートとも組み合わせて食べ比べを実施しました。私たちは、いつもカカオの産地や品種でチョコレートの食べ比べをすることが多々あり、その際には産地や品種の違いを顕著に感じられるのですが、それと同じように8島で沖縄黒糖の風味や香り、味わいに違いがあることに驚きました。沖縄黒糖は他の砂糖と比較して風味や味が強くでる特徴的な味わいを持つ原料です。加えてチョコレートの原料となるカカオには苦みがあり、沖縄黒糖と同様に風味が強いです。この2つを組み合わせたときに、風味同士がぶつかり合ってしまい、沖縄黒糖の風味を出しにくいという課題に直面しました。

「アーモンドチョコレート黒糖」では、アーモンドをコーティングするチョコレートに沖縄黒糖を練りこんでいます。アーモンドの香ばしい部分が入ることで、沖縄黒糖の風味とカカオの風味が口の中で上手く組み合わさり、3つが絶妙に調和したことで本商品の開発に至りました。

「リッチ黒糖チョコレート」では、沖縄黒糖をあえて粗く入れ、チョコレートの甘さを抑えるためにホワイトチョコレートを使用することで、沖縄黒糖の風味を食感と香りで感じられるように工夫しました。一般的には滑らかなチョコレートの方が美味しいとされているため、通常は、舌にざらざらと感じられるような素材の入れ方をしませんが、今回はあえて沖縄黒糖を粗く入れてみたところ、チョコレートの滑らかさを残しながら、沖縄黒糖の風味も残すことができ、美味しく仕上がりました。社内の試食でも好評だったこともあり、粗く粒感を残した伝え方に手ごたえを感じました。 沖縄黒糖はどちらかというと、和素材(和菓子等)に使用されることが多く、今回の新商品を通じて、普段チョコレートを食べない、和素材(和菓子等)に親しみのあるお客様にも手に取ってもらいたいという思いがあり、パッケージには和の要素を取り入れた色と柄になっています。一見、紫色に見える色は、平安時代から使われている紅桔梗と呼ばれる色で和を表現しています。和素材(和菓子等)に親しみのある日本の方はもちろんのこと、来日される和素材(和菓子等)に興味のある海外の方にも手に取ってもらいたいという思いから、紅桔梗を採用しています。また、沖縄黒糖を使用していることから、沖縄を感じられるシーサーや沖縄黒糖の写真を入れることで、和と沖縄も感じられるパッケージに仕上げました。

リッチ黒糖チョコレートのパッケージ

お客様の2商品(「アーモンドチョコレート黒糖」と「リッチ黒糖チョコレート」)に対する反応はいかがでしたか。

2商品については、テスト販売の位置付けとして期間限定で販売しました。しかしながら、予想以上にお客様の評価はとても高く、短期間の販売だったにもかかわらず、お客様センターには販売場所や再販の時期等、多数のご意見をいただきました。例えば「定番商品として販売してほしい」、「美味しかったため友達に分けた」、「コクが感じられて美味しかった」、「アーモンドと沖縄黒糖の組み合わせが美味しい」、「沖縄黒糖感を強く感じられる商品で美味しかった」等のご意見を多くいただきました。ここまで反響があったことに驚きました。これは沖縄黒糖とチョコレートのハーモニーに気づいたお客様が多かったからだと思われます。

今後、沖縄黒糖を使用した商品の開発は予定していますか。

今回の販売で、2商品についてお客様から大変好評をいただいたことで、チョコレートの嗜好の拡がりを楽しんでもらえたのではないかと捉えています。沖縄黒糖の魅力をカカオとの組合せにより、多くのお客様に届けることができればと考え、できる限り今後も販売を続けていきたいです。ぜひ発売した際には召し上がって頂ければ嬉しく思います。